海外と比べると日本がよくわかる?(続)
前回に引き続き、海外におけるICT教育を通して日本の未来を考えていきましょう。
⑤フィンランド
プロジェクトを基礎に持つ学習形式によって、2教科、3教科の授業内容や目標を組み合わせ(合科)、学習者が協働的に授業に取り組む。
またプログラミングの授業に、自由にボックスを積み上げ建築物などを作れるゲームである「マインクラフト(Mine Craft)」を取り入れている学校がある。創造的な物作りのゲームであるマインクラフトを通してプログラミングに触れていくために、子どもにプログラミングに対する興味を持ってもらいやすくする工夫が見られる。
⑥エストニア
学校が所有する共有用の学習端末の他に、生徒自身が自分の普段使っている端末を学校に持ち込むBYOD(Bring your own device)が導入されている。もちろん、子どもたちがインターネットにアクセスするためのLANはほとんどの学校に設置されている。生徒自身が学校に個人の端末を持ってきてくれることで、教育予算の削減につながるという、国にとっても子どもにとっても嬉しい効果が見られている。
⑦デンマーク
あらゆる文書のデジタル化と、全学校と生徒である子ども、保護者のやりとりをインターネット上で可能にすることを目指すなど、ICT教育の早期普及を国家による目標としている。
特筆すべきは、生徒と教師の双方からコミュニケーションをとれ、お互いにお互いを刺激し合える教育ポータルである「エミュー」(EMU 、Educational Portal)である。エミューには主に以下の機能がある。
⑴教員同士が教材や授業進行などの相談や提案などができるコミュニケーション目的のサイトとして活用できる。
⑵教育関連のコンテンツ(百科事典や新聞記事《約25年間分》)がデータベースとして一挙に閲覧できる。
「遅れ?チャンス?どう捉えるか」
「日本のICT教育は遅れている」、「早く遅れを取り返さなければ、国際社会で孤立する」のような嘆きは、国内からよく聞かれます。しかし、前回も言った通り、前例があるということは、私たちはその例から学べるということを意味します。何も気後れしたり、斜に構えたりすることは無いのです。諸外国の例を取り入れていくことで、日本は効率良く遅れを取り戻し、日本のICT教育を成長させるためにつなげていければいいのですから。要はこの後に私たちがどのように行動していくかだと言えるでしょう。

この記事を書いた人
父、母、弟、妹、叔母、祖父、曾祖父、妻…、と家族・親族に教員がたくさんいて、自分自身も公立学校の教員免許を所持しているちょっと変わった経歴を持っているエンジニアです。三重県四日市市を拠点に、自分たちの子供の世代のためにできること、すなわち「教育」を起点に何かしら社会のプラスになることにチャレンジしていきたいと考えています。また、Thinker!の開発や情報発信も担当しています。