日本では緊急事態宣言の間、オンライン授業ができた公立学校は数えるほどですが、これは学校現場にITがほとんど普及していなかったことがいえると思います。
それでは、世界一のIT都市、サンフランシスコの学校現場はどれほど進んでいるかと思い、調べてみました。
サンフランシスコでは、学校閉鎖が始まった週の月、火曜日を準備にあて、水曜日からすぐにオンライン授業が始まったとのこと。実質、学校が休みになったのはたったの2日でした。
Googleが無料提供している「Googleクラスルーム」を利用して生徒全員に課題を配布し、学習の進捗と提出のチェックをし、Googleが提供しているチャットとビデオ通話アプリ「ハングアウト」でオンライン授業をするという仕組みができあがりました。さすが、Googleの本社がある街。最大限に利用しています。
日本でオンライン授業ができないことに対して一番のネックになったことは、家庭による環境の差。「パソコンなどのオンライン端末がない」「インターネット環境がない」ということでした。
サンフランシスコでは、パソコンを持っていない児童には学校が手配して貸し出しをしました。準備期間の2日間で用意されたとのこと。
サンフランシスコでは、どうしてこんなにもスムーズに進んだのかというと、小学校入学時にメールアドレスがひとりずつに渡されていて、作文や宿題の提出をオンラインシステム上で行うという仕組みがある程度できていたからだそう。
そして、ITエンジニアの親を持つ子供が多いこともあり、低学年から自分のパソコンを持つ子供も多く、子供も操作に慣れているということもあるようです。
しかし、肝心の授業内容のほうは、大きな混乱があったようです。
教科ごとに課題が配布され、それを子供たちがこなして提出するという授業スタイルが主なものになったようなのですが、アメリカは担任制ではなく、授業ごとに先生が変わる形式。
各先生が課題を出すのですが、生徒たちが全教科でどれくらい課題をもらっているのかを把握されておらず、大量の課題を前に親子で混乱したといったケースがあったようです。
また、オンライン授業中に、勝手にログアウトして授業に参加をしなくなる子もいたそうです。
どの課題をいつまでに提出するのかといったことを親が先生に確認したり、子供がちゃんとオンライン授業に参加しているかチェックしたりなど、親の負担が大きかったという声もありました。
いくらインフラが整っていても、学校も先生もオンライン授業は初めてのこと。
授業の進め方をイチから作らなければならず、やってみたら思ってもみないトラブルがあったりなど、やはり混乱は避けられなかったのようです。

この記事を書いた人
Webデザイナー、Webディレクター
金融機関OLを15年経験ののち、Webデザイナーへ転向。
制作のかたわらWebデザインスクール講師を経験し、社会人が未経験からIT技術を習得するためのノウハウを研究。
現在の日本のIT教育やEdtechに注目している。