文部科学省が、高校普通科を72年ぶりに再編成する方針を固めました。早ければ2022年春から新方針の高校が登場することになりそうで、現在中学1年生の子供たちの選択肢が変わるかも知れません。
現在の普通科と新しい普通科の違いは?
高校生の7割が在籍しているのが普通科です。普通以外には、工業・商業・農業など専門分野がある「専門学科」と、平成6年から登場した総合学科があります。総合学科は幅広い選択科目の中から生徒が自分で科目を選べるものです。
今回の改編では、普通科の中で3つに分かれます。「普通科」「学際総合学科」「地域探求学科」になります。普通科も残るのですが、それ以外の新しい学科が2つ増えるということです。
「学際総合学科」「地域探求学科」と名前を聞いただけでは、いったいどんなことを学ぶのかイメージがわきにくいという声がすでに挙がっています。
詳細はこれから決まっていくようなのですが、例を聞いてみました。
新しい学科について
学際総合学科の学習例
・英語の時間に、オンラインで海外の人と交流しながら英語を学ぶ
・アプリを開発する
・株を学ぶ
こういった案が出ているそうです。つまり、実際の職業や社会経験を授業を積極的に取り入れるようです。
地域探求学科の学習例
地域の農業や特産品について学ぶという案が出ているようです。農業高校と似ているように思えるのですが、農業高校では農作業の実例や機械操作を学ぶのですが、地域探求学科では、地域の事情や地域活性など「農業」以外の視点も取り入れた学習を行うそうです。
山形県にある高校では、今回の改編に先立って「探求科」という学科が開設されていて、様々な授業が行われてます。
国語「将来76万人にまで人口減少すると、方言と文化は消滅するのか」
数学「市民が幸福に暮らせる人口とは、どれくらいか」
このような地域特有のテーマに沿って少人数のゼミ形式で授業が進められています。
地域探求学科では、この高校を参考にして授業テーマが作られるようです。
どうして今、普通高校を改編するのか
その理由は、「中学から高校に進学したら学習意欲が無くなしまった」という高校生の意見が非常に多くなったということが最初に挙げられてました。
実はこの声はこれはかなり前から出ていた声なのですが、少子化が進んだことで子供ひとりひとりの声がやっと上層部に聞かれるようになり、対策を考えられるようになったのではと思われます。
将来なりたい職業や夢があって、だからこの大学を選んだと言える学生は少数派です。
自分の偏差値にあった高校を受験し、その3年後、自分の偏差値にあう大学の中から受かりそうな大学をなんとなく選ぶという傾向があります。このため学習への意欲がわかないのです。
受験勉強を目標にした今の高校授業の在り方に問題があるのではないか、ということが改編理由の一つです。
普通科改編の理由、大人の事情
学校の生き残り戦略というのがもうひとつの事情です。
ご存じのとおり、少子化によって無くなる高校が今後後を絶たないでしょう。高校側は受験生たちに選んでもらうために、高校独自の特色や取り組みを作る必要が出てきたのです。
2020年春の開設を目指しているとのことなのですが、新型コロナウイルス対策のために様々な取り組みが遅れていることもあるので、開設はもう少し先になるかも知れません。
しかし、受験以外の幅広い学習ができることは、子供の選択肢が増えてとてもいいと思います。開設を待ち望みたいと思います。

この記事を書いた人
Webデザイナー、Webディレクター
金融機関OLを15年経験ののち、Webデザイナーへ転向。
制作のかたわらWebデザインスクール講師を経験し、社会人が未経験からIT技術を習得するためのノウハウを研究。
現在の日本のIT教育やEdtechに注目している。